★政治的混乱とファシズム時代の遺産★

～ヴィットリオ・エマヌエーレ3世とイタリア王国の変革～

1931年に鋳造されたこの100リレ金貨は、1927年12月に発表された勅令に基づき、従来の100リレ金貨が縮小され、金の重量が32.25gから7.919gに変更されることが許可されたものです。この変更は、特に海外に拠点を構えるイタリアの銀行の要請によるもので、金貨の製造には銀行が提供した金が使用され、さらに1キログラムの加工ごとに22リラの手数料が支払われました。この経緯により、この金貨は単なる貨幣を超え、イタリアの金融・経済活動の一環として鋳造された重要な歴史的証拠となっています。

【表面】ヴィットリオ・エマニュエル3世の肖像

  周囲には「VITTORIO EMANUELE III RE D'ITALIA」の文字が刻まれています。

ヴィットリオ・エマヌエーレ3世（1869年–1947年）は、イタリア王国の最後の君主として、国家の変革と苦悩の時代を象徴する存在です。彼は1900年、父ウンベルト1世の暗殺により即位し、イタリア王国の近代化を見守りつつも、政治的な波乱とともにその治世を全うしました。

【裏面】船首に立つ女神

その優雅なデザインは、当時の技術と芸術性の高さを示しています。「IX（9）」はムッソリーニ体制ファシスト9年を意味してます。

周囲には「100 LIRE」の文字と、発行年「1931」、そしてローマ造幣局の「R」のミントマークが刻印され、コインとしての正統性と価値を確実に証明しています。

＜画像クリックでNGCサイトが確認可能です＞

1931R IX ITALY 100L MS62 ID8469